売上高を上げるための定石メソッド


飲食店の儲けの仕組みを知ろう

売上高の算出方法

飲食店で利益をあげるためには売上高を増やし経費を削減しなければなりません。当たり前のことを何度も申し上げるのには、日々の営業をどんぶり勘定ですましてしまい、赤字経営に陥っている経営者があまりに多いからです。経費削減については別の項でお伝えしましたので、今回は売上高アップについていくつかご紹介したいと思います。

1日の売上高は次式で算出することができます。

売上高 = 客単価 × 客数

そして、客数は

客数 = 席数 × 回転率 × 満席率

に分解できます。よって、

売上高 = 席数 × 回転率 × 満席率 × 客単価

となります。

売上高を構成する要素をひとつひとつ見ていき、増やせるかどうか検討していきます。「回転率」は1日の客数をそのお店の席数で割ったものです。25席のお店に1日100人来店したとすると、100÷25=4回転となります。回転率を上げるには、オーダーのとり方や料理の提供時間、バッシングの方法などによって改善できます。「満席率」はテーブルに定員に達していない数のお客さまが座っている場合などの指標です。4人掛けテーブルに4名が座っている場合は100%となりますが、3名で座っている場合は75%となります。また、場合によっては追加椅子を用意して5名で座ることもあるでしょう。この場合は満席率は125%となります。満席率を上げるには、来店するお客さまの客層を把握する必要があります。平日や休日のランチ、ディナータイムによって一人客が多いのか、サラリーマンの二人連れが多いのか、はたまた家族連れが多いのかによって、最適なレイアウトに変更することで改善できるでしょう。

売上アップのための客単価設定

顧客単価を上げる営業手法に「アップセル」と「クロスセル」という方法があります。アップセルとは、現在ある商品を検討している顧客や以前商品を購入した顧客に対してより高額な商品をすすめることです。また、クロスセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に対し、別の商品もセットで購入してもらうためのセールス手法です。

これを飲食店にあてはめて考えると、松竹梅のメニュー構成を使った方法がアップセルです。より上位単価のメニューにお得感をだすことでそちらに誘導し、客単価を上げます。例えば、梅コースを選ぼうとしているお客さまに「梅コースも人気がありますが、竹コースの方が品数も多く、お肉も黒毛和牛を使用していますのでコスパがよく満足いただける内容です」というようにより高い商品をすすめるのです。ここで注意したいのは、その商品が本当にお客さまの満足できるような内容であることです。お客さまが払った金額と同等以上の満足感を得られないと、会計時に「あれ?なんか思ったより高かったな」となってしまい、お店に対して不満の感情がわいてリピートされなくなってしまいます。お客さまの満足度を下げることなく客単価を上げることが重要なのです。

クロスセルは注文された料理と関連するものを同時に注文してもらうようにおすすめする方法です。例えばパスタを注文したお客さまに対して「ご一緒にサラダや食後のコーヒーはいかがですか」というようにすすめることで、客単価をあげることができます。飲食店はこういったスタッフの接客トークやメニュー構成などで、アップセルやクロスセルがとてもやりやすい業態です。

客単価をあげるために、商品の「値上げ」についても検討してみましょう。値上げに抵抗感をもつ経営者も多いと思います。しかし、よりよいサービスやおいしいものを提供するために価格をアップすることは必要な対策です。もちろん、ただ単に値上げをしましたというだけでは客離れにつながります。値上げをするならば、利益率の高いメニューを値下げするなどしてバランスを取ることが大事です。何度も言いますが、客単価を上げるためにお客さまの満足度を下げてしまうのはいただけません。また、値上げをするならメニューを一新する手間をかけてください。今までのメニューの上に紙を張って新しい単価を書いただけでは、ただ単に値上げをした印象が強くでてしまい、不満につながります。値上げをするならば、メニューを新しく用意するべきです。

お店を支えているのはリピーター!?

パレートの法則をご存知でしょうか。2:8の法則とも言われますが、飲食店でいうと「売上の8割は全体の2割の固定客で占めている」ということです。

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客数を増やすことを考えたとき、新規顧客を獲得することはもちろん必要なことなのですが、毎月毎月新規顧客を獲得していくのは至難の業です。それよりも、新規顧客の固定客化、つまりリピーターを増やしていくことに重点を置いた戦略をとるべきです。具体的には、LINE登録によるフォローやクーポン発行、SNSでの季節ごとの定期的な限定メニューの発表などでしょうか。2回目来店顧客を獲得するのにかかるコストは新規顧客を獲得するコストの1/5と言われています。また、リピーターが増えると新規顧客メインの客層の時より売上が安定してきますので、積極的にリピーター獲得を狙っていきたいですね。さらに常連客は新規顧客を連れてきてくれますので、集客効果も見込まれます。ただ、固定客も必ずいつかは離れていきますので、新規顧客も継続して獲得することを忘れてはいけません。新規顧客獲得→固定客化の仕組みを作ることが成功の秘訣です。