ターゲット層を決めよう


お店のコンセプトを決めよう

来てもらいたいお客さまは?

お店のコンセプトをより明確にするためには、お客さまを具体的にイメージすることから始めましょう。どんなお客さまに来てほしいのかを深く考えることでお店のターゲット層を決めることができ、コンセプトを浮かび上がらせることができます。そこで大事なのは、できるだけ具体的にイメージするということです。ターゲット層をきちんと決めずに何となく自分のやりたいようにお店づくりをしてしまうと、開店してからお店のコンセプトと客層がマッチせずに集客に苦戦してしまうかもしれません。

例えば、「若いサラリーマン」を対象にするというだけではイメージが浅く、ターゲットがブレてしまいます。性別や年齢だけでなく、その人がどういうライフスタイルを送っているのか、食事にはどれくらいお金を使う傾向にあるのか、外食には誰と行くのか、など一歩踏み込んで考えてみてください。「食に気を遣っている30代~40代の健康志向の強い男性会社員」や「流行に敏感な10代~20代の独身女性」のような具体的な人物像を描き、ターゲット層を決めるのです。そうすれば設定したターゲット層に合わせたコンセプトでお店づくりを進めることができます。内装デザインやレイアウト、メニュー構成、スタッフのユニフォームなどがイメージしやすくなるでしょう。

ターゲット層を絞ることで、パイが小さくなり集客が難しくなるのではないか、と思われるかもしれません。しかし食文化が熟成され、多様化されている現代では「万人受けするお店」よりも「ひとつでも強いウリがあるお店」の方がお客さまに支持されやすくなっています。そういった意味では、ターゲット層以外のお客さまは切り捨てるぐらいの覚悟が必要です。よくあるのは激辛メニューをウリにしているお店ですが、辛い物が苦手な人はまず来ませんね。一見、対象となるお客さまを狭めているように思えますが、辛い物好きな人にとってはなくてはならないお店となり、リピーターや口コミ客をどんどん獲得できるのです。「ビーガン専門のお店」や「激盛り・フルトッピング・背油たっぷりラーメン」などのアピール度の高いお店が成功の秘訣です。誰にでも響きそうなお店は、誰からも強い支持を得られないお店になってしまうということを肝に銘じておきましょう。

なぜそのお店を利用するのか?

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次に考えなければいけないのは、設定したターゲット層であるお客さまがどのような目的でお店にくるのか、つまり利用動機です。ただ空腹を満たすだけでよいのならコンビニでお弁当を買って食べてもよいわけですが、「飲食店で食事をする」ことにはそれ以外の価値を求めているからです。それは仲間とのコミュニケーションであったり、大切な記念日を過ごすことであったり、様々な利用動機があります。

「平日のランチ」を例にとってみても、「もりもり食べたい働き盛りのサラリーマンランチ」、「女性が好むサラダ中心のヘルシーランチ」、「主婦層が集まって食べる井戸端会議ランチ」、「ランチミーティングに使える都会の空間」など、人はTPOに応じて飲食店を選び、使い分けています。なので、ターゲット層を決めることができたら、その次は利用動機を考え、マッチさせることが大切なのです。

お店の利用価値を考える

居酒屋事業で考えてみましょう。先ほどと同じように、ただお酒を飲みたいのであればそこら中にあるコンビニでお酒を買って帰って飲めば事足ります。しかし居酒屋に来る人達は「お酒を飲む」以外の価値をお店に求めてやってきます。それは「快適なコミュニケーションの場」という利用価値を居酒屋に感じているからです。

そして、どのようなコミュニケーションを求めているかによってお店の形態も変わってくるでしょう。仕事帰りにさらっと一杯飲んでいくには価格設定も安く提供も早い立ち飲み屋でもいいでしょうが、ゆっくり腰を据えて語り合いたい人たちにとっては居心地の良い空間とは言えません。お客様から見たお店の利用価値を考えることによって、お店の内部構成やシステム、メニュー構成が決まってくるのです。