物件を探そう3


開業の準備をしよう

建物条件を検討しよう

店舗物件を探していくと、大きく2つの形態で賃貸に出されていることが分かります。いわゆる「居抜き物件」と「スケルトン物件」です。初期投資にどれだけのお金を出せるのか、内装や厨房設備にどこまでこだわるかによってどちらの形態で借りるのかが決まってくると思います。初期費用を抑えるのであれば居抜き物件を選ぶことになり、内装や厨房設備にこだわりがあるのであればスケルトン物件を選ぶことになると思いますが、実際はどうなのでしょうか。それぞれの特徴を比較し、みなさんの物件選びの参考となるようにまとめてみました。

居抜き物件とは

居抜き物件は前のテナントが使用していた厨房設備や店内の内装がそのまま残っている物件のことです。そのまま店舗として使用できる状態ですので、似たような業種でお店を開業するつもりであれば、居抜き物件でも問題ありません。また、最初から同様の業種が入っていた物件を探してもよいでしょう。

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居抜き物件の一番のメリットは初期費用を大幅に削減できることです。厨房設備をそろえたり、内装工事にかかる費用を積み上げていくとかなり高額になります。自己資金が潤沢であればいいですが、多くの方は金融機関からの借入金で捻出するのではないでしょうか。事業を始めるにあたって借金は少ないにこしたことはありません。レイアウトを変えたり、照明だけ変えたりするだけでお店の雰囲気をガラリと変えることができますので、初期費用を抑えたい方は居抜き物件を検討することをおすすめいたします。また、居抜き物件には、前のテナントにとっても内装解体費用や解体期間の賃料をカットすることができるというメリットがあります。なので、物件数はスケルトン物件より多く出回っていますから比較的探しやすいでしょう。

居抜き物件で気をつけなければいけないのは、前のテナントの閉店・移転理由です。そのお店の料理やサービスに問題があったのか、そもそも集客しにくいような飲食店に向かない立地だったのか、そのあたりを見極める必要があります。不動産屋にヒアリングしたり、SNS等で調べたりしてしっかり確認しましょう。

もうひとつ注意したいのが「造作譲渡」です。これは、居抜き物件が比較的新しい場合、その内装や厨房設備、空調設備、什器などを買い取ってもらうというスキームです。前のテナントはまだ使える設備などを解体したり運び出したりする手間が省けますし、新しく入るテナントも新品で設備をそろえるよりは費用を削減できるので、双方にメリットがあります。全ての設備等を譲り受ける場合はいいですが、中には必要ないものもあるかもしれません。その場合は、譲渡リストを作って、双方納得の上で造作譲渡することになります。また、リストに載っているものが全てあるか、設備がきちんと使えるかどうかを譲渡前に検品、検査することで無用なトラブルを避けましょう。

スケルトン物件とは

建物の躯体だけ残して、内装や設備などを一切なくした状態がスケルトン物件です。こちらは費用はかかりますが、お店を一から自由にデザインすることができます。せっかく自分のお店を持つのだから自分の描く思いどおりのお店で始めたいという方はスケルトン物件を検討しましょう。オリジナリティのある内装や什器でオンリーワンのお店をつくることができ、集客効果を高めることにもつながります。お店のコンセプトに基づく明確なイメージやアイディアがあるのであれば、スケルトン物件でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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スケルトン物件のデメリットとしてはコストと内装工事等の工期です。一般的に飲食店の内装工事は1坪当たり50~80万円といわれています。業態によっては、ダクト工事などを含めると1坪当たり100万近くかけているところもあります。さらに、工事期間中はもちろん営業はできませんのでその間の賃料も初期費用としてみておかないといけません。また、契約内容によっては店舗撤収時に現状復帰を求められることがあります。その場合は、現状復帰に係る費用もみておかないといけませんので注意が必要です。

こういったデメリットをできるだけなくすために、施工業者数社から見積りをとったり、できるところはDIYでやって工事費を削減したりします。お店の雰囲気によってはスケルトン状態のコンクリート打ち放しを活かしていくこともできます。また、厨房設備や什器についても自分のイメージにあった中古品を探すという手もあります。

タイプ別物件探しまとめ

○ 初期投資費用を低く抑えたい! ⇒ 居抜き物件

前テナントの居抜きであれば内装工事や厨房設備設置の費用が最小限に抑えることができます。できる限り初期費用を少なく抑えたい方や予算が少ない方は居抜き物件で検討しましょう。

○ とにかく早くオープンさせたい! ⇒ 居抜き物件

居抜きなら重設備の搬入や大規模な内装工事を省略できるため、スケルトン物件より早く開業することができます。工事期間中も賃料が発生しますので、早く営業を開始して売上をあげたい方は居抜き物件で検討しましょう。

● 自由なデザインでお店を始めたい! ⇒ スケルトン物件

自分のイメージ通りのお店を一からつくってみたいのであれば、自由な設計が可能なスケルトン物件です。アイディアを具現化させて理想のお店をつくってみましょう。