物件を探そう4


開業の準備をしよう

店舗物件を契約しよう

飲食店を開業するには店舗を借りる必要があります。住むための部屋を借りたことはあっても店舗物件を借りた経験はない方が多いのではないでしょうか。店舗物件の契約には契約スケジュールや契約書面の確認、資金調達のタイミングなど、留意しなければならないポイントが多くあります。大金が動くことですので慎重に進めたいところですが、慣れていないと大事なポイントを見逃して後でトラブルになる可能性もあります。契約の大まかな流れと注意点をおさらいしておきましょう。

物件契約までの流れ

① 物し件探

お店のコンセプトに合った物件を探します。出店地域の不動産屋で希望する条件を伝えて物件を探してもらいます。情報収集のためにも複数の不動産屋を訪れることをおすすめします。店舗物件を専門に扱っているサイトもありますので、インターネットも活用しましょう。

② 内見

気になった物件があればどんどん内見していきましょう。店舗の広さや設備、周辺環境など見るべきポイントをあらかじめリストアップしておき、漏れがないようにします。また、同じ物件でも昼と夜、平日と休日で人の流れや環境が大きく変わる場合もありますので、数回に分けて内見することをおすすめします。内見を数多くこなすことで物件を見る目が養われ、良い物件を見つけられる可能性が高くなります。

③ 申込み

これといった物件が見つかったら不動産屋に申込んで物件を押さえましょう。一般的に、物件を押さえるには申込金が必要で、だいたい保証金の1割くらいが相場です。あなたが良いと思った物件は他の人も目をつけていることが多いです。気に入った物件が見つかったらすぐに動きましょう。

④ 審査

申込書に記載された氏名、住所、経歴、連帯保証人や事業の計画などをみて不動産屋及びオーナーが書類審査をします。そこで問題がなければ面談という流れが一般的です。面談ではこれまでの実績や事業計画について詳しく聞かれます。あなたが果たして事業を長く継続していけるのかどうか、つまり、家賃を安定的に払っていけるのかどうかという目で厳しく審査されます。オーナーは数多くの事業者を見てきていますので、あいまいな受け答えやいい加減な見通しの事業計画では審査はまず通りません。事業の明確なビジョンと具体的なプランを話せるようにしておきましょう。

また、面談ではあなたの人柄もみられていることを忘れないでください。あなたの事業に懸ける熱意やあなたが信頼できる人物かどうかを面談のやりとりの中でみています。飲食店は良くも悪くも経営者の人柄が反映されますので、それも大きな判断材料になってきます。契約は人と人との約束事なので、この人なら貸してもいいと思ってもらうことが大事です。

⑤ 契約

審査が通ったら晴れて契約です。契約に係る書面の内容について、事前に不動産屋から確認依頼があります。書面には契約に関する事項が多岐にわたって書かれていますが、必ず全てに目を通してください。賃貸契約はどちらか一方だけが有利になるものではありません。自分だけが不利になっていないかどうか不明な点やあいまいな点があれば不動産屋に確認し、全てクリアしておきましょう。契約書にサインをしてからでは原則変更はできません。契約書における主な確認事項は次のとおりです。

■ 契約期間

契約期間は2年毎なのか、または3年毎、5年毎なのかを確認します。

■ 手付金(申込金)、保証金の扱い

もしも契約を解除した場合、保証金がどの程度戻ってくるのかを確認します。一般的には、7~8割の返金となります。

■ 更新手続き、解約条件

更新の意思確認時期、更新にかかる費用、閉店することになった場合、いつまでに解約を予告すれば良いかなどを確認します。一般的には、6か月前には予告します。解約時に原状復帰が必要なのかどうかや敷金の清算方法なども重要なポイントです。

■ 営業可能業種、営業時間など

飲食店でも喫茶店ならOKだが、焼肉店などの激しい煙やにおいの出る業種はNGという物件もあります。また、営業時間についても早朝営業や深夜営業がNGとなっている場合がありますので、よく確認しておきましょう。

■ トラブル発生時の解決方法

雨漏りや外壁劣化などの建物自体に問題が発生した場合の責任の所在、排気ダクトや害虫などの店舗運営に関する諸問題が発生した場合の対策について、どのようにすれば良いか、事前にはっきりさせておく必要があります。また、借主の落ち度で物件に損害を与えた場合、地震などで営業ができなくなった場合などのため、火災保険の内容について十分理解しましょう。

■ 保証人について

物件を借りる際は、必ず保証人が必要です。社会的信用のある人でないと保証人として認められないので、誰でもいいというわけにはいきません。また、保証人の信用度によって審査の可否が決まる場合があります。

知っておきたい不動産用語

・保証金・・・賃借人が賃貸人に契約時に預け入れるお金

賃貸人に発生しうる様々な不利益を避けるためのものですが、何も問題なければ解約時に一括で返済されます。

・敷金・・・賃借人が賃貸人に契約時に預けて解約時に返却されるお金

賃料を滞納した場合にその賃料分にあてたり、解約時に店内を原状回復させるための費用にあてたりするものです。保証金を敷金とみなしてどちらか一方だけでよい場合もあります。

・造作譲渡料・・・居抜き物件の場合で、店舗の設備や什器などの所有権を前の賃借人に譲ってもらうためのお金

・名義変更料・・・造作譲渡を行った場合に、譲渡した前の賃借人が賃貸人に支払うお金一般的には、譲渡代金の何%と決める場合が多いようです。

・償却・・・保証金は解約時に原状回復費用などを差し引いた分が戻ってきますが、その費用以外に減額されて戻ってくる場合があり、その減額分のこと

「契約期間満了ごとに〇%を償却する」「1年ごとに保証金の〇%を償却する」のように契約時に定められているケースが多いです。

・定期借家・・・物件を探す際に気をつけて確認しておきたい項目のひとつです。定期借家で契約すると、あらかじめ期限を決めておくことにより、契約満了時に、家主が借り手に退去を命じることができます。再開発予定の物件などに多く見られます。これに対し、正当な理由なしに家主側から契約更新の拒否ができない契約を、普通借家契約と呼びます。