内装工事を発注しよう


開業の準備をしよう

専門業者が必要なワケ

飲食店を開業するにあたっての物件選びでは、居抜き物件とスケルトン物件についてのご説明を別の項でしました。居抜き物件の場合でも内装や設備を少しだけ変えたりすることもありますし、スケルトン物件になるとイチから本格的な工事が必要になってきます。そうなってくると工事の業種も増え、ガラス工事、金属工事、木工事、電気設備工事、空調設備工事など複数の工事をスケジュールを合わせながら同時期に行う必要があります。ひとつひとつ予算を決めて打合せして発注して検査して、、、素人には手に負えるものではありません。

ここは店舗設計・施工を請け負ってくれる専門業者に依頼するのがベストです。自分の店舗イメージやコンセプトを上手く伝えることで、イメージどおりのお店をつくってもらえます。そこで、ここでは業者選びのポイントや発注から引渡しまでの流れをご説明いたします。

店舗の設計は?

施工するためには基となる設計図が必要です。設計図はイメージを伝えるスケッチみたいなものではなく、各所の寸法や納まりがわかるようなきちんとした図面です。図面には内装デザインがわかる意匠図、断面図、詳細図に加えて電気設備や空調設備、給排水設備などの設備図面があります。これらの図面の作成には専門的な知識が必要になりますので、設計事務所などに依頼しなければなりません。しかし、設計事務所を自分で探して施工業者も別に探すのは大変です。

そこで、店舗の内装工事を請け負う業者には付き合いのある設計事務所や建築士、店舗デザイナーがいることが多いため、まずは工事業者にあたってみるのがいいでしょう。

見積りをもらおう

施工業者は店舗を専門としているところ、もしくは店舗施工を多く手掛けているところにしましょう。店舗設計・施工では専門的な知識や知見が必要です。施工事例が多い業者はそれなりのノウハウや経験の蓄積がありますので、そういうところを選んでおいてまず間違いありません。経験の浅い業者に依頼すると、見た目はいいが使い勝手が悪い厨房やお客さまにとって居心地が悪い空間になってしまうおそれがあります。

気になる施工業者をリストアップしたら実際に手がけた店舗を見に行ってみましょう。業者によって得意とするデザインが異なりますし、独自のアイディアを持っているところもあります。実店舗を見ることで「こういう感じにしたい」「こうするともっといいかも」と新たなイメージがふくらんできたり、フィーリングの合う業者を見つけることができます。

内装にかけられる費用は限られます。準備段階でどれだけの予算が内装工事にあてられるのか把握しておきましょう。コストを抑えながらも見栄えのいいデザイン、使い勝手のいい動線となるような工事がベストです。そのためにも、見積りはできれば3社以上から出してもらってください。同じ内容を伝えて見積りを出してもらっても金額や提案内容は業者によってかなり違ってくる場合があります。もちろん金額だけで決めてしまうのではなく、工期を守れそうか、こちらの要望をきちんと汲み取ってくれるか、こちらのイメージを具現化できるスキルがあるかなど総合的な評価をつけて決めるとよいでしょう。

物件を決める際に不動産屋から様々な情報を得ることができるのと同様に、多くの工事件数をこなしている業者からは店舗経営に関する様々な情報を得ることができます。出店地域の飲食店開業動向や看板の出し方のアドバイス、スタッフの動きを考えた店内配置など実になる情報をいろいろと聞くことができますので、積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。

契約の前に

見積りや提案内容に納得できたらその業者と契約し、設計・施工に進みますが、契約前にしっかり確認しておくべき事項があります。まずは工期、引渡しの日です。内装工事と同時にオープンに向けての準備をしていきますので、引渡し日は絶対守ってもらわなくてはいけません。オープンの告知や材料の発注、スタッフの雇用などオープン日に合わせて調整していきます。引渡し日が遅れてしまうと再調整しなければなりませんし、その分売上が減ることになります。後でトラブルにならないよう工期を守れなかった場合の補償などについて事前に決めておきましょう。

次は支払いについてです。工事費の支払いについては前払い金で工事費の○%、完成後に残りの代金を支払うといったかたちが一般的です。規模が大きい場合は中間支払いを設けるケースもあります。内装工事に限らず、工事には変更を伴うケースが少なくありません。「設計図と現場が違った」「設備の変更に伴ってレイアウトが変わった」など、途中で変更になったり追加工事が必要になったりする場合があります。そうしたときに業者の方で勝手に進めてしまうのではなく、発注者に報告し、判断を仰いで進めてもらわなくてはいけません。そのためにも契約書に内容が変更になった場合の取り決めを記載しておく必要があります。また、契約前からコミュニケーションをとって信頼できる業者か見極めておくことも大事です。