公的支援を活用しよう


開業資金を調達しよう

もうひとつの資金調達方法

飲食店開業にあたっての資金調達は、自己資金に加えて日本政策金融公庫などの金融機関からの借入れが一般的です。飲食店に限らず事業を始めるには何かとお金がかかります。そこで事業者を金銭的な面から支えてくれるのが国からの助成金や補助金です。一定の条件を満たしていれば、返済の必要がないお金を受け取ることができますので、経営の強い味方と言えるでしょう。助成金・補助金の制度を正しく理解し、公的支援を得ることで開業時のリスクを少しでも減らしておきましょう。

助成金とは

まず、助成金とは厚生労働省管轄の支援金のことです。女性や高齢者の就労促進や正社員の採用促進に取り組む事業主に対して一定額を支援する制度です。助成金は創業時や開業時に受け取れるものではなく、雇用などに要した費用をあとから助成されるものです。申請するタイミングや所定の手続きについて事前によく確認しておきましょう。次に、飲食店開業に活用できる助成金の一部を紹介いたします。

○キャリアアップ助成金

パートスタッフや派遣社員などの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善の取り組みを行った事業主に対して助成する制度です。キャリアアップ計画の作成及び提出の後、正社員化等の取り組み後6か月で支給申請を行うことができます。

・正社員化コース

有期契約労働者等を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に助成

①有期 → 正規 : 一人当たり57万円

②有期 → 無期 : 一人当たり28万5千円

③無期 → 正規 : 一人当たり28万5千円

・賃金規定等改定コース

すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成

・健康診断制度コース

有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成

1事業所当たり38万円

・短時間労働者延長コース

短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険に適用した場合に助成

○トライアル雇用奨励金

職業経験、技能、知識等の理由により安定的な就職が困難な求職者について、ハローワーク等の紹介により、一定期間試行雇用した場合に助成する制度です。支給対象者のトライアル雇用に係る雇入れの日から1か月単位で最長3か月間、1人につき月額4万円が助成されます。

○特定求職者雇用開発助成金

高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する事業主に対して助成される制度です。高年齢者(60歳以上65歳未満)や母子家庭の母等の雇用により年間一人当たり60万円が助成されます。

※助成金制度については変更や廃止される場合もありますので、関係機関のホームページで確認してください。

補助金とは

補助金とは、主に経済産業省が管轄しており、国の政策目標達成のために政策に合った事業を実施する事業者に対して交付されるお金のことです。助成金が申請要件を満たしかつ、申請内容に不備がなければ支払われるのに対して、補助金は全体での予算の枠組みが決まっているのが特徴で、上限に達すると受付が締め切られます。一般的に知られているのは太陽光発電導入やエコカー購入の補助金などですね。

○創業補助金

日本経済の活性化を目的とし、地域の活性化や新たな雇用の獲得を目指す創業に対して、その事業に関する経費の一部を補助するという制度です。店舗賃借料、人件費、設備費などの経費に対して、その1/2が200万円を上限として補助されます(ただし、外部資金調達がない場合は上限100万円)。

○IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が業務効率化や売上アップを目指して自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助する制度です。経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることを目的としています。ソフトウエア費、導入関連費等に対して、その1/2以下が450万円を上限として補助されます。

活用できるものはすべて活用しよう

上記以外にも自治体独自で補助金制度などを設けているところもありますので、事業エリアの自治体の制度などをよくリサーチしておきましょう。初めての飲食店経営は思った以上に厳しいものです。公的支援は資金力のない個人事業主や中小企業の強い味方ですので、活用できるものはすべて活用するべきです。繰り返しになりますが、助成金や補助金の申請にはタイミングが重要ですので、申請スケジュールや手続きなどをよく確認して手遅れにならないようにしっかり準備しましょう