返済計画を立てよう


開業資金を調達しよう

借りたら返す

金融機関などで融資を受けたら(お金を借りたら)、計画的に返していかなければなりません。通常、借りる際に返済期間や金利などは決められていますので、それに従って返していけばいいのですが、借りる前に自分でも返済計画を立てておく必要があります。売上計画と合わせていくらなら月々返していけるのか、シミュレーションしておきましょう。当然ですが、具体的な返済計画が立てられないと事業計画も成立しませんし、金融機関もお金を貸してくれることはありません。以下の手順に沿って返済計画を立案してみましょう。

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返済方法の決定

借りたお金の返済方法は大きく2つに分けられます。ひとつが「元利均等返済方式」で毎回の返済額となる元金と利息の合計が、返済開始から終了まで均等となる利息の算出方式であり、もうひとつが「元金均等返済方式」で毎回の返済額が元金を均等割にした額と利息の合計となる利息の算出方式です。

返済方式の違いの例(出典:Wikipedia)

  借入 金利 返済年数 初回の返済額 120回目の返済額 240回目の返済額 返済総額 利息総額

元利均等返済

20,000,000円 年2.5%(固定) 20年(240回) 105,981円 25,435,339円 5,435,339円

元金均等返済

125,000円 104,340円 83,507円 25,020,833円 5,020,833円

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返済方式は金融機関にもよりますが、一般的には元利均等返済方式になります。毎回の返済額が一定であるため、無理のない返済ができるのがこの方式の特徴です。そのかわり初めのうちは返済額に占める利息の割合が高く、そのため元金の減りが遅くなり、完済までの期間が長くなります。

また、返済方法の初年度から返済する方法と「据置期間」を設ける方法があります。飲食店の開業当初はまだ資金繰りが安定していないことが多いです。そのような中、すぐに元本を返済していくのはかなり厳しいです。そこで、据置期間といって元本の返済を一定期間猶予してもらうことができます。

例えば、据置期間を6か月とすると、借入金の総額の金利だけを6か月間払い、次の月から元本と金利を支払っていくことになります。この方法のメリットは、猶予期間に運営資金を蓄えることができ、その間に経営を安定させることができます。ひとつ気をつけたいのは、「返済期間は据置期間を含む」ということです。つまり、返済期間5年、据置期間6か月だとすると、5年6か月で返済するのではなく、あくまで返済期間は5年だということです。返済期間はスタートしていますので、据置期間の間元本が減らずに金利総額としては据置期間を置かない場合に比べて多くなりますが、お店の安定操業を第一とするならば据置期間を設けたほうがよいでしょう。

返済年数の決定

金融機関によって返済年数の限度が定められていますので、その限度以内であれば借り手側が自由に設定できます。もちろん返済期間が短ければ短いほど払う金利も安く済みますが、一番は無理のない返済期間で返していくことです。返済期間を短くしすぎて月々の返済が利益を圧迫して経営が立ち行かなくなってしまっては本末転倒です。目先のお金に捉われるのではなく、長い目で見て適切な判断をしましょう。

返済額の計算方法

返済額の計算方法は次式のとおりです。

・毎年の元金返済額=借入金総額÷返済年数

・借入残額=初年度は借入金総額を記載し、次年度から借入金総額-毎年の元金返済額

・毎年の支払利息=初年度は借入金総額×利息、次年度から借入残額×利息

・返済額計=毎年の元金返済+毎年の支払い金利

実際に1000万円を日本政策金融公庫で融資してもらったとして、次の条件で返済していくときのシミュレーションをしてみましょう。

1)資金調達

・総投資額:2000万円

・内訳(工事費:1000万円/物件取得費:500万円/開業費:500万円)

・自己資金:1,000万円

・借入総額:1,000万円

・借入先 :日本政策金融公庫

・借入条件:金利=年利2% 返済年数=5年 返済方式=元金均等返済 据置期間=なし

2)返済計画

・毎年の元金返済額=1,000万円÷5年=200万円

・借入残額=

初年度:借入総額1,000万円-毎年の元金返済額200万円=800万円

2年度:初年度借入残額800万円-毎年の元金返済額200万円=600万円

3年度:2年借入残額600万円-毎年の元金返済額200万円=400万円

4年度:3年借入残額400万円-毎年の元金返済額200万円=200万円

5年度:4年借入残額200万円-毎年の元金返済額200万円=0万円

・毎年の支払い利息=

初年度:借入総額1,000万円×金利2%=20万円

2年度:初年度借入残額800万円×金利2%=16万円

3年度:2年借入残額600万円×金利2%=12万円

4年度:3年借入残額400万円×金利2%=8万円

5年度:4年借入残額200万円×金利2%=4万円

・返済額計=

初年度:毎年の返済額200万円+毎年の支払利息20万円=220万円

2年度:毎年の返済額200万円+毎年の支払利息16万円=216万円

3年度:毎年の返済額200万円+毎年の支払利息12万円=212万円

4年度:毎年の返済額200万円+毎年の支払利息8万円=208万円

5年度:毎年の返済額200万円+毎年の支払利息4万円=204万円

・総返済額=1,060万円

※元利均等返済の場合

毎年の返済額は212万1583円(最終年度は212万1586円)で、返済総額は1060万7918円となります。元金均等返済に比べて返済総額は多くなりますが、返済額が一定のため返済計画が立てやすいといったメリットがあります。