収支計画を立てよう


事業計画を立てよう

収支計画とは?

飲食店開業の際にまずは事業の指標となる事業計画書を作成します。そこで必要となるのが収支計画です。これは開業費用にいくらかかるのか、運営するのにいくらかかり、いくら売上げていくら儲かるのかを表したものです。この収支計画がないと資金調達や返済計画を立てることができませんので、必ず作成するようにしましょう。開業費用や運営するためのコストは別の項でご説明していますので、次に検討するべき売上予測について解説していきます。

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売上予測を立てよう

売上予測はできるだけ細かく具体的にシミュレーションを行って数字を出す必要があります。よく月間売上高は「1坪あたり○○万円」とか「1席あたり○○万円」などの目安が書かれていますが、業種や業態、場所等によっても全然変わってきますのであまり気にすることはありません。あくまで自分のお店だとどうなのかを周辺の飲食店などをリサーチしながら冷静に検討すべきです。1日にどれくらいの集客が見込め、どれくらいの売上があるのかを1時間単位で考え、1日ごと、1週間ごと、1か月ごとに分けて予測してみましょう。

1日の売上予測はシンプルに「客数×客単価」で出します。お客さまが何人来店して一人当たりいくら使ってくれたのかを掛け合わせて計算します。また、客数は「客席数×満席率×回転率」で計算することができます。

○ 売上高 = 客数×客単価

○ 客数  = 客席数×満席率×回転率

・客席数はお店の業態やコンセプトを考慮して決めます。売上高を気にするあまり席数を多くしすぎてしまうと、狭くて快適に過ごすことのできない空間となり、お客さまの満足度は下がって集客できなくなります。一般的な1坪当たりの席数の目安は1.5席から2.5席と言われています。

・満席率は席の稼働率を表します。例えば4名席に4名座っていれば100%ですが、2名しか座っていなければ50%になります。飲食店の満席率は平均で70%程度と言われています。ご案内の仕方や4名席は2名席に分割できるようなテーブル配置とするなど、満席率を少しでも上げる工夫をしましょう。

・回転率はどのくらいの人数が席を利用したかを表します。表す期間は1時間当たりで計算することもあれば、1日当たり、週当たりで計算することもあります。期間あたりの「来店客数÷席数」で算出することができます。牛丼屋のようなファストフードであれば1時間で4~5回転見込めますが、割烹料理などのランチでは1時間に1回転すればいい方でしょう。

・客単価はこれまで検討したメニューや周辺飲食店の相場から検討します。

売上予測を立てるときに、最初から年間の売上を算出しようとしてもおおざっぱな数字しか出てこないためあまり役に立ちません。売上予測は細かいところから順を追って計画していくことが重要です。そうすることでブレ幅が小さくなり、より現実に即した数字となります。

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売上予測は3パターンつくろう

飲食店は高い厨房設備などを投資しての装置産業とも言えますので、利益を出すには安定した集客により席を埋めていくことを考えなければなりません。しかし、実際には平日と休日、昼と夜などの曜日や時間帯によって客層や客数が異なります。また、それに伴って客単価も変わってきます。ですから、月間売上高を予測するにはそれらを別々に計算し、総合的に検討していきましょう。

また、定休日を設ける場合はそれも考慮して検討します。大規模な飲食店でスタッフを多く雇えるような場合は別ですが、個人経営のお店では人件費や事業主の体調も考慮して定休日を設けるべきです。開店当初は売上がほしいためはりきって無休で営業する方もいますが、誰でも休養は必要です。事業を長く続けていくには、健康を維持し一定のリズムで営業を続けていくことが重要です。

売上予測は、好調時、通常時、低調時の3パターン用意しておきましょう。

低調時: 最低限クリアしなければいけない数字

通常時: 普通に営業していれば達成できる数字

好調時: 目標とする数字

3パターンの予測ができていると実際の運営の時に柔軟に対応できるため、金融機関に説明する時もプラスになります。

資金繰りとしては低調時の売上でも操業していける計画とするべきです。基本的には計画時に綿密なシミュレーションを繰り返してこれらの予測を立てますが、お店を運営していく中で事業計画も軌道修正やブラッシュアップしていきますので、それに合わせて変えていくことも考えておきましょう。